『ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう』
2021年 ドイツ・ジョージア
ジョージアのクタイシという町、そこに生きる人々、子どもたち、犬たち、そして自然。
映画を撮るということ、物語を作るということ、芸術であるということ。
混迷を極める現代社会にあって、映画は、芸術は、どうあるべきか、どこへ行くのか、という監督の自問自答が見えたような気がした。
タイトルで検索すると「ロマンス」とか「ラブストーリー」という言葉が多く出てくるが、私はこれを恋愛映画とは言いたくない。
確かにラブストーリーではあるのかもしれないが、主題は別のところにあると思った。
原題「Ras vkhedavt, rodesac cas vukurebt?/What Do We See When We Look at the Sky?」は「私たちが空を見上げるとき、何が見えるか?」(第22回東京フィルメックスでは「見上げた空に何が見える?」という邦題で上映されたという)であり、うーん邦題……と、いつものことながらどうしても思ってしまった。
邦題をつける人や、日本で恋愛映画として宣伝することそのものが悪いのではなく、そうせざるを得ないこの社会の問題だ。
ある土地があり、人々の営みがあり、自然があって、その世界でもしかしたら魔術的なことが起こる。それでも生活は続く。
それを映画にするということと、同時にそれを問うこと。
とても美しく、優しい映画だった。
それと、この映画を見てからハチャプリが食べたくなり、朝食に目玉焼きを乗せたパンをよく食べるようになった。
目玉焼きパンは、ハチャプリでなくラピュタパンだ。美味なので良し。
ところで、ジョージアではジョージアのことを「サカルトヴェロ」というらしい。
グルジアでもジョージアでもない、というか、サカルトヴェロが、ジョージアとかグルジアと呼ばれている。
固有名詞を言語によって変えてしまうのが、本当に腑に落ちない。
↓監督インタビュー記事
要は、奇跡をどう定義するかなんだ。見方を変えれば、周りで起きていることはすべて奇跡と言えるかもしれない。
とても素敵。